人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『ひよっこ』お疲れ様でした

10月となり、今週からもう新しい連続テレビ小説『わろてんか』が始まっており、
遅ればせではありますが、ひとこと労いの言葉を述べさせていただきます。
出演者の皆様、スタッフの皆様、お疲れ様でした。
楽しい朝ドラでした。
突っ込みどころもありましたが、
それは決して不快になるような種類のものではありませんでした。

では、総合感想を書き留めておこうかなぁ、頼まれてもいないけど。


1.みんな、しゃべりたいんだよ

とにかく、台詞が多いドラマだったなという印象。
朝ドラという枠である以上、「明るい」「にぎやか」「楽しい」「前向き」といった
“陽”の要素が必要不可欠なのは承知しているが
(それも必ずしもセオリーではないが)、
多少度が過ぎていたという感は否めない。
しかし、そういう“陽”の要素を描くのが岡田さんの真骨頂なのだろう。
ずいぶん前に見た岡田さん脚本の『恋セヨ乙女』というドラマ(よるドラという
括りだったと思う)、
当時は結構ハマったクチなんだけど、
あれも、とにかくしゃべってばかりのドラマだった。
確か、夜中に主人公の家に友だちが数人集まってお酒を飲み、
手料理などの美味しいものを食べながら
恋愛談義にふけるっていう場面が多かった。
『ひよっこ』でも、ことあるごとに広場やらあかね荘の共同炊事場やらに
数人で集まっては、なんだかんだと他愛ないことをしゃべっていたよね。
それもみね子(有村架純)たちばかりじゃなく、奥茨城母の会の3人(木村佳乃、
羽田美智子、柴田理恵)も何かと集会してはしゃべり倒していた。
明るく楽しくにぎやか、大いに結構だ。
でも、あまりに会合の場面ばかり見せられていると
どうしても既視感に見舞われ、だんだん飽きてくる。
これでもし会話のクオリティが耐えられるものでなかったら、
朝ドラの時間は苦行となっていたかもしれない。
音楽担当宮川彬良の絶妙なセンスにも
だいぶ助けられていたと思う。

2.口調とか強弱のつけ方にバリエーションが少ない

特に、みね子を含めた若い女性キャスト(乙女寮時代に
顕著だった)の台詞。
「〇〇だし、〇〇なんだけど、―」
という型の台詞が多くて、少々くどく感じた。

3.ベテランが味わい深い演技

古谷一行の演技が渋かった。
特に、息子の実(沢村一樹)に、実という自分の名前が好きだ
といわれる場面、
今思い出しても泣けてくる。
また、宮本信子も控えめに主人公を支え、
悪目立ちすることもなく好感を持てた。

4.伏線が効いている

女優の川本世津子(菅野美穂)が登場したときは、まさか実の失踪に
関係しているとは全く思いもよらなかった。
後から思えば、彼女がみね子の茨城弁に反応したころから
少しずつ実との関連性を匂わせていたんだなとわかるように
なっていた。
そして、重箱。すっかり忘れていたが最終回になって
実が思い出したところで「あ!」っと唸らされた。
まんまとしてやられたという思いと、カタルシスとの両方を
感じさせるのは、脚本の巧さだと思う。

5.キャラ設定の勝利

漫画でも、ドラマでも、個人的にキャラクターで魅せる作品が
好みなのだ。
岡田さんのキャラクター設定には、少し偏りはあるけど
それぞれの登場人物にしっかりした背景づくりがあって、
人間性に奥行きが感じられる。

6.で、結局、朝ドラ『ひよっこ』は

概ね好きなドラマだった。
『カーネーション』や『花子とアン』、『あさが来た』等
実在の人物の一代記も好きだが、普通の人を
描いても十分楽しい朝ドラができるという見本だと思う。
批判をおそれず岡田さんらしさを出し切ったのが良かったのでは
ないかな。
どこかで見たような、という朝ドラではなかった。


最後に…
続編は特に希望しないけど、連続ものでなく単発でなら、やってほしい。


by porcupine2013 | 2017-10-04 12:06 | 連続テレビ小説・ひよっこ

善く隠れる者は善く生きるbyオウィディウス「悲しみの歌」


by porcupine2013