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「臆測?憶測?」

以前、勘違いしたまま覚えてしまっていることがたくさんあると思う、
というようなことをここで言ったのだけど、
たまたまその一つを今日思いついたので備忘録として書いておきたい。

ホリエモンが週刊誌に対してキレた、とかいうネットのニュースを
読んでいたときのこと。
その記事に「他人を憶測でバカにする」云々という文言が入っているのを目にしたところ、
「おくそく」という漢字にまつわる記憶がよみがえってきた。
昔、学校で何かを書かされたときに「おくそく」という単語を
「臆測」と書いた。
すかさず誰かに――(ここは記憶が曖昧)――
「臆」は間違いで、
「憶」が正しいと指摘された。
そのとき何か理由も聞いたように思うが、どうも思い出せない。
ともかく、私はその指摘を鵜呑みにし、
それ以来、「臆測」は使わず「憶測」と書くようにした。
確かに、このホリエモンに関する記事でも「憶測」の方の漢字が
採用されている。

しかし何か心に引っかかりを感じたので
辞書で調べてみることにした。
まず広辞苑第7版(2018)を見ると、

おく-そく【臆測・憶測】
物事の事情や人の心をいいかげんにおしはかること。
また、その推測。当て推量。


とある。「臆測」「憶測」が併記されている。
明鏡国語辞典第2版(2010)には、

おく-そく臆測(憶測)】
根拠もなく、いい加減に推測すること。当て推量。

とあり、さらに表記に関する注釈が次のように書かれていた。

「憶測」は代用表記。

「憶」は「臆」の代用として使う漢字だったようだ。
念のため明鏡国語辞典で「おく【臆】」の項目をみてみると
語釈としては「①思いをめぐらす。」とあり、参考情報として、

「「臆」が表外字であった時代には「憶」で代用したものも多い。」
との記載があった。

そういうことだったか、と膝を打つ。
しかし、指摘を受けたときに聞いたのが
その理由だったかどうかについてはあくまで不明だ。
明鏡辞典(2010)は、この字がいつまで表外字であったかと
いうことまでは説明していなさそうだ。
ただし、よく探してみればどこかに書いているかもしれないから
断定はしないでおく。

要するに、断定はできないけど、
あのとき指摘を受けたのは、「臆測」の臆という漢字は
表外字だから使うべきじゃないという理由だった
という推測が可能となった、くらいは言っても良いだろう。
しかし、それが事実だとしたら、
どうして私はそもそも「臆測」と書いたんだろうという
疑問がわいてくるのだけどね。

何はともあれ、
今は「臆測」でも「憶測」でも良いらしい。
むしろ「憶測」の方が当て字みたいなニュアンスだ。
それがわかって、ほんの少し、すっきりしたような気持ちにはなった。


# by porcupine2013 | 2019-04-23 16:45 | 勘違いシリーズ

善く隠れる者は善く生きるbyオウィディウス「悲しみの歌」


by porcupine2013