文藝別冊『総特集 萩尾望都』

せわしない気分の日々でもつい読んでしまったのが
文藝別冊『総特集 萩尾望都 少女マンガ界の偉大なる母』
という河出書房新社のムック本。
2010年に初版が出ているのだが、原画展の開催などに合わせてか、
昨年再版されたものだ。
もともとは萩尾望都先生の漫画人生40周年を記念して
出版されたもののようだ。
松本零士、ちばてつや、永井豪、里中満智子、山岸凉子、小松左京、恩田陸などなど
そうそうたる顔ぶれの特別寄稿が目を引く。
特別寄稿のなかで個人的に興味深かったのは、山岸凉子センセは当然として、
赤石路代が寄稿してるってことだった。
その寄稿によれば、なんでも赤石路代は高校時代に通っていた漫画教室で
萩尾望都先生に師事した経験があるとのこと(p.63)。
萩尾望都に直接教えてもらえる漫画教室ってすごいよね。
それと、別の漫画家の方が自身の寄稿のなかでリバー・フェニックス主演の
映画『マイ・プライベート・アイダホ』をさらりと冷評しておられた(p.67)。
確かにヤマアラシも若い頃の初見時にはそんなに強く印象に残らなかった
映画だけど、近年観直したときはしみじみ良いじゃんと思った。
一度では良さのわからない作品っていうのもある…
というか見る側の意識の変化もあるだろうからね。
けれど、「ゆるい」という見方もあるのだなぁ。
無論、すべての人が同じように感じることの方が異常なのだから、
「面白くない」なら「面白くない」で良いと思う。
でも、どういうところを見てどうだからそう思ったのかを
明確に示してほしいなとは思う(まあ、この場合は
紙幅の関係で根拠を書きたくても書けなかったと推測はできるが)。
寄稿(漫画形式で描かれている)の文脈から、
比較対象の『マイ・プライベート…』を貶めることで
萩尾望都先生の漫画家としての超人的な才能を強調しようとしている
のはわかる。
しかし、そういう手法で運悪く比較対象にされてしまう方にしてみれば、
それこそ『ひよっこ』のみね子じゃないが
「なんで私が流れ弾に当たったみたいにけなされなくちゃなんないわけ?」
ってな理不尽極まりない気分になってしまうだろう。

※みね子が時子といっしょに三男の働く米屋に行き、
さおり(あるいは米子)としゃべっていたときの話

閑話休題。
また、このムック本の中には萩尾望都先生とある小説家との対談も
載っていた。
先生は過去(82年か83年)にモスクワで交通事故に遭った、
というお話をされていた(p.151-152)。
昔、ちょうどその時分だったと思うが、漫画家の萩尾望都の事故だか
病気だかを報じた記事を新聞で見た記憶がずっとあった。
近年萩尾望都先生の作品をよく読むようになってから特に
その新聞記事のことが心のどこかに引っかかっていた。
この対談を読んでいくうち、先生が先述の事故について話し始めると、
これはあの新聞記事と同一の事案についてのお話に違いないとピンときた。
気になっていたあやふやな記憶がひょんなことから符合したときって
妙に爽快感があるね。
そのときの新聞記事の詳細な内容は今となってはほぼ思い出せないけど。
何はともあれ、その事故で先生が大事に至らなくて良かった。
そして、そのときの経験によって人生観が変わったという趣旨のお話は
誠に興味深いものだった。
そういえば、寄稿者のなかに竹宮惠子先生がおられなかったのが残念だった。
竹宮惠子先生といえば、先日『探検バクモン』の京都の国際漫画ミュージアム
の回に出演されてたのを拝見した。
ていうかこのミュージアム、行きたいなあ。


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# by porcupine2013 | 2017-11-10 14:12 | 昔の漫画 | Trackback | Comments(0)

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